マクロンが人民の投票結果に従わないのなら、議会は彼を罷免しなければならない

マチルド・パノー、マニュエル・ボンパール、ナデージュ・アボマンゴリ、マノン・オブリー、エリック・コクレル、クレマンス・ゲテ、マリナ・ムジュール、ジャン=リュック・メランション

 エマニュエル・マクロンは、欧州議会選挙で敗北した後、去る国民議会総選挙でも敗北した政治的結果を考慮せずに、もうすぐ首相を任命するところだという。そうであるなら、それは、議会制の社会と代議制民主主義において、前代未聞の決定となる。EUとそれ以外のヨーロッパ諸国ではすでに、彼が言うところの「オリンピック政治的休戦」について、それぞれ驚きを表明した。また、フランス共和国の大統領が、投票の結果だけでなく、選挙で同盟して首位になった新人民戦線が首相として提示したリュシー・カステをも拒絶しているのが、どれほど奇妙なことであるかにも言及した。マクロン支持者による反論は知られている。絶対多数をとった陣営はないのだから勝者はいない、新政府の運営を主張する権利は誰にもない、というものだ。この論拠は、フランスがもし、それと逆のことを経験していなかったら、聞き入れることもできただろう。というのも、2022年の総選挙の直後、フランスは絶対多数に至る政党連合がないのに、政治が行なわれたからだ。それに今回も、国会解散後直ちに、マクロン派の内務大臣は、相対多数であっても首位になった政党連合が政治を行なうのが正当だと言明したのである!おそらく彼は、解散前の状況に再び戻れると期待していたのだろう……

 この状況のもとでは、国家元首(マクロン)の決定を民主主義に反する強権行使だと特徴づけることができる。それは、政体の強権化を示す、罰せられることのなかった決定がすでにたくさん取られた後に起きた。今後は私たちもまた、マクロン派がハンガリーのヴィクトル・オルバーン首相について非難する「非自由民主主義(イリベラリズム)」のような政体となってしまった。だが、ひょっとして国家元首(マクロン)は、このような状態で制度的に全く何の束縛も受けないと思っているのだろうか?そんなことはない。これほど明らかに反民主的な権力の濫用に対して、国会が終止符を打つことのできる手段は存在する。内閣不信任決議は、もちろんその一つだ。大統領の「御意」による新しい政府が発表されたら直ちに、内閣を倒すためにそれを使う。しかし、その段階にとどまるわけにはいかない。この権力濫用の原因は指し示され、処罰されなくてはならないのだ。原因は大統領自身である。現行の制度内に、制裁行為を行なう手段は存在する。国家元首罷免の条件を定義した共和国憲法第68条である。国家元首は、任務の実行と明らかに相容れない彼の義務に違反した場合、罷免できる。この条項の実践的規定を定めた憲法付属法は、起こりうる法律に背く行為のみにこの条項が適用されるのではないと、明確に述べている。国民議会だけが、そのような状況にあるかどうかを決定するのである。現在のケースにおいては、総選挙の結果を事実として認めるのを拒み、無視して先に進む決定は、大統領の任務の基本的な要請に対して非難されるべき違反にあたる。なぜなら、彼は民主主義と、フランスにおけるその規則編成の尊重を保証する権威であるべきだからである。

 罷免を宣告するための手続きは単純だ。提案が作成され、まず国会理事部(bureau)に付託されなければならない。現在、新人民戦線は国会理事部の過半数を占めている。したがって、理事部がそれを受けつける可能性は高く、次に提案は予算委員会に移されて審議されるが、そこでも大統領支持者は少数派である。こうして、提案のテキストは国民議会自体の議事に記入されることになり、議員全員の投票に委ねられる。議員はそれぞれ、自分の責任をもって投票することになる。大統領支持の議員は少数派だから、この動議が可決される可能性は高い。

 この提案は、民主主義的抵抗の最大級の信号を発信するであろう。それによって、フランスの大統領は、民主的な投票結果を停止させる拒否権を使える専制君主ではないと示せるだろう。共和国においては、人民だけが主権を有することを呼び起こすだろう。人民主権は、通常それを表現しているとみなされるすべての機関、大統領やその時点での議員等々の主権より上にあるのである。拒否権はすでに1789年、共和国の創設以前でさえ、ルイ十六世に対して拒まれたのだ。2024年に、マクロンに対してどうしてそれを認めることができるだろうか?それを妨げる合法的で平和的な手段が存在するのに、人民主権の否認が行われるままにどうして任せられるだろうか?

 もし、マクロンの強権行使に対してこの行動手段を使うなら、もちろん国民に対してそれについて入念に説明し、合理的な使用をオーガナイズしなくてはならない。言うまでもなく、それは重要で重大な決定である。決定には理想的に言えば、確実な手続きと、できるかぎり集団的な基盤が得られることが必要である。だからこそ、私たちの同盟である新人民戦線を構成する複数政党の指導部と、国民議会会派の指導者たちが議論し、それぞれ決定すべきだと私たちは考える。

 私たちはこの論評に、厳粛な警告の具体的な役割を与える。大統領は総選挙の投票結果を認めて、新人民戦線が提示したリュシー・カステを首相に任命するべきである。それをしないのなら、民主主義の基本的な規則に反する悪だくみに従うより、彼を罷免するために憲法のすべての手段が使われるであろうことを、彼は知らなくてはならない。フランスでは、人民の投票が唯一の指導者なのである!

署名者:

マチルド・パノー 国民議会LFI-NFP会派 会長

マニュエル・ボンパール 服従しないフランス運動 コーディネイター

ナデージュ・アボマンゴリ 国民議会 副議長

マノン・オブリー 欧州議会左翼グループ 共同委員長

エリック・コクレル 国民議会予算委員会 委員長

クレマンス・ゲテ 国民議会 第一副議長、ラ・ボエシー協会 共同会長

マリナ・ムジュール 欧州議会服従しないフランス代表団 団長

ジャン=リュック・メランション ラ・ボエシー協会 共同会長

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